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造園師

石積み

伊東造園

​法多山尊永寺

​愛染堂

愛染堂建設への思い


(株)伊東造園の創る風景:愛染堂を囲む庭園の設計とその意図


この度は愛染堂の落慶、誠におめでとうございます。私共、株式会社伊東造園は、微力ながら日頃法多山尊永寺境内の維持管理業務をさせて頂いております。


今回の愛染堂建設に伴う周辺の庭園施工をさせていただくこととなり、大変光栄な事と思うと同時に、とてつもない重厚感とこれまでにない責任感で身震いしました。

愛染堂周辺の庭園計画をしていく為に、これまでの経験で得たことを思い返すと同時に、再度庭園や茶室、露地等の関連資料を読み返したり、庭園施工の参考となる実物の「法隆寺夢殿」を見学したりして頭を悩ます日々を過ごしました。


また、日頃お付き合いのある庭師の先輩方や職人さんにもご協力していただき無事に落慶を迎えることが出来ました。作業を進めていく中で振り返り改めて思うことは、一人の想いや考えだけでは作業を上手く進めることが出来ないということでした。やはりお施主様である法多山尊永寺様や、ご住職様の愛染堂建設に対する想いや考えを考慮していくことの大切さ、参拝される方々が完成した愛染堂を観たときに思う事、感じることを思い描く事で庭園施工に活かすことが出来ると思いました。



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愛染堂建立に伴い愛情の力を強く持つ愛染堂御尊像「天弓愛染明王」のイメ-ジカラ-を赤やピンク色と設定し、多くの参拝者が訪れ人々に愛される場所、現在の世相をより明るく夢や希望、御堂建立への想いや光に溢れた境内を目指すべく御堂周辺の整備に取り掛かりました。


四季を感じられる様な庭園


3~4月  

様々な種類のウメやサクラ等の花が賑やかに咲き誇る庭園

5~8月  

シバザクラの鮮やかな風景木々の新緑が際立つ庭園

9~11月  

モミジやイチョウなどの紅葉がまぶしい庭園



愛染堂建立に伴い愛情の力を強く持つ愛染堂御尊像「天弓愛染明王」のイメ-ジカラ-を赤やピンク色と設定し、多くの参拝者が訪れ人々に愛される場所、現在の世相をより明るく夢や希望、御堂建立への想いや光に溢れた境内を目指すべく御堂周辺の整備に取り掛かりました。まずは、四季を感じられる様な庭園とし


 3~4月  様々な種類のウメやサクラ等の花が賑やかに咲き誇る庭園

 5~8月  シバザクラの鮮やかな風景木々の新緑が際立つ庭園

 9~11月  モミジやイチョウなどの紅葉がまぶしい庭園



法多山尊永寺境内の風景と同調する様に木々の配置、周辺の山々を借景として利用し庭園と自然に融合する様に植栽を計画し施工を行いました。主に御堂の背面には山の斜面を抱えている為、安全性を考慮しつつ、大きさも産地も様々な庭石を技術的にも芸術的にも日本庭園の技法を駆使し自然な趣のある石組みとしました。その上段部にはソメイヨシノ、ジンダイアケボノの桜とノムラモミジを植栽し、今後背面の山々に溶け込む様に配置しました。

山の斜面にも境内の各所から掘り上げたヤマモミジを多数移植しており、紅葉の季節はモミジの赤が鮮やかになることでしょう。


正面階段の両サイドにはシバザクラを配置してあり将来鮮やかなピンク、赤、白の絨毯に、南西の角にはシダレウメを紅白配置してありますので春の訪れを鮮やかに彩る事になると思います。


愛染堂周辺整備で、今回境内の中でも新しい手法として古瓦の使用に挑戦してみました。古くから瓦を使う手法は庭の中や茶室周辺にも使用されていますが、近年屋根材の瓦の使用が減っており再利用する目的と瓦を使用して日本古来の風情を創り出す目的として様々な形の瓦を使用してみました。垣根の制作にも時間をかけて安全面と景観を考慮し、 金閣寺垣をベースとして境内にある真竹を使用、一部を変更して重厚感溢れる形に施工致しました。


まるで茶室を思わせるような物置兼休憩所の周辺の整備も露地や坪庭の手法を取り入れて心安らぐ、落ち着き感を持った植栽、整備を行いました。元々この場所には様々な品種のサクラや様々な樹木が存在していた場所でもあり、御堂建設に伴い老朽化した樹木は泣く泣く伐採処理をしたり、移植した樹木もあります。その為に将来その様な樹木の復活を目指して今までにあった品種の樹木やこれまでにない樹木を増やそうと計画、実行しています。


法多山尊永寺に訪れた人々が愛染堂とその周辺の木々の融合に心やすらぎ、日常生活から一時離れてこの素晴らしい伝統技法の集大成となる愛染堂や「天弓愛染明王」を後世に受け継いで残せる役目が出来ればいいと思います。

我々の仕事である造園という世界は植栽、整備作業を行いますがその作業には完成という言葉はなく、始まりと捉えて日々の作業に取り組んでいます。今回の植栽作業を含めて愛染堂建立に伴う記念すべき作業に携われたことは誠に光栄に想います。


境内各所にある全ての樹木の今後の成長と共に自分たちも成長が出来る様、更に人々の心を癒してくれる法多山尊永寺になれるように日々の維持管理も含めて精進して参りたいと思います。



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